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[No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★

[No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★

作業の目的

大変長らくお待たせいたしました。
BOSCH製ECUの開発準備が整いましたので、ご要望が多かった「BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 国内仕様」のECUチューニング開発を行いました。
もちろん、自社で国内仕様のデータ・マップ解析を行い、独自のECUチューニングを実施しております。

[No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★

電子スロットル開度マップ」の調整はもちろん、「点火マップ」「[仮]燃料噴射基本マップ(空気流量)※」「[仮]アクセルオフ燃料噴射マップ」「[仮]トルクリミットマップ」「[仮]ラムダターゲットマップ」「[仮]タイヤ外径パラメーター(開発中)※」「[仮]クイックシフターカットタイミング(開発中)※」など、多くの有効なマップ変更が可能となりました。
※上記「ECUチューニング項目」の一部は仮称とさせていただいております
※開発中の「[仮]燃料噴射基本マップ」「[仮]タイヤ外径パラメーター」「[仮]クイックシフターカットタイミング」はオプション・メニューとしてのサービス提供を予定しております

これにより、サーキット走行でも扱いやすく、かつ、思う存分パワーを発揮できるような、理想的なバイクに近づけることが可能となります

お預かりさせていただいた車両の年式は「2017-2018」ですが、新型の「2019-2020」も似たようなシステムが採用されておりますので、現行「2019-2020」や、「S1000R」シリーズなども順次対応が可能なものと思われます。

[No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★

現在、開発にご協力いただけるお客様を募集しておりますので、ご興味のある方は、弊社までお気軽にご連絡ください。

作業風景

シャーシダイナモで走行テスト [No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★

S1000RR 2017-2018年式 国内仕様」には「Rain」「Sport」「Race」「Slick(通常は非表示)」の合計4モード(USERを除く)が存在しますが、ECU内部における、実際のパワーデリバリー特性は2種類(モード3、4)です。「モード3: Rain」「モード4: Sport、Race、Slick」のように割り当てられております。

よって、「Sport」「Race」「Slick」の間には、各モードで電子制御の介入度などは異なりますが、基本的なエンジン特性は同じですので、「Sport」「Race」「Slick」でパワーチェックを行っても、同じ馬力・トルクカーブが描かれます。

まずは、出力特性が最も優れる「モード4」が割り当てられている「Slick」モード(純正ECU)のパワーチェック(馬力:オレンジ線、トルク:紫線)を行いました。

しかし、グラフの通り、トルクリミット(出力制限)により、高回転でトルク・馬力が落ち込んでしまうのが分かります。

オーナー様によると、車両は殆どサーキット走行に利用されており、10,000rpm以降は少し元気が無くなるとお聞きしておりました。今回は、「トルクリミット・マップ」などを見直して、出力特性の改善を図ります。

開発したECUチューニングを行った結果、ECUチューニング後の「Slick」モード(馬力:黄色線、トルク:青線)では、6,000-7,000rpmからトルクが盛り上がり、きれいなパワーカーブを描いています

[No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★
※通常、パワーチェック・サービスは行っておりませんが、今回はECUチューニング開発のため特別に実施させていただきました

[出力]
 オレンジ線:純正ECU(164.6HP [後輪])
 黄色線:ECUチューニング実施後(170.4HP [後輪])

[トルク]
 紫線:純正ECU
 青線:ECUチューニング実施後

今回、マフラーは「Akrapovicスリップオン・マフラー(サイレンサー以外は純正の排気システム)」と純正に近い仕様でしたが、ECUチューニング前後で、後輪馬力で5.8[HP]ほどのパワーアップを果たすことができました。これだけ出力が変化すれば、サーキット走行でのパフォーマンスに期待できそうですね♪

ただ、MotoJPのECUチューニングはパワーアップだけを目的としたものではありません。如何にライダーが要求するパワーをスムーズに発揮させるか。レースサポートなどで培った技術と経験をもとに、スロットルの開けやすさなどを煮詰めていきます。

改善点について [No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★
まずは、純正ECUの状態で乗ってみましたが、非常に乗りやすく、正直、国産のリッターSSよりも乗りやすいんじゃないか...?というのがファーストインプレッションでした。
しかし、色々なシチュエーションで乗ってみて、改善したいポイントがいくつか見つかりました。

 ①アクセル開度0%から少し開いた時のドンツキ・ギクシャク感が気になる
  → 初見では国産車でも良くある「燃料カット制御」によるものと推察しております

 ②アクセルを全閉にしたときのエンジブレーキが強い
  (正確にいうと、速度に応じて強くなったり弱くなったりする)
  → もう少し、エンジブレーキが一定の強さで効いてほしいと思いました

 ③アクセル開度5%~30%くらいまでのレスポンスが悪い
  → 国産リッターSSに慣れている方が乗ると感じるかもしれません

 ④巡行時(アクセル一定)にパラパラと不安定になる
  → 水温もグングン上昇するので、もう少し基本の燃料噴射量を改善したいと思いました

 ⑤アクセルをワイドオープンした時のパワー感が今一つ
  → オーナー様によるご意見やシャーシダイナモ上の試験結果から記載いたしましたが、
    「トルクリミットマップ」「点火マップ」などの改善により、この車両については、
    弊社シャーシダイナモにおいてトルク・馬力の向上が認められました

これらの問題を改善すべく、車検対応の範囲内でECUチューニング・試験を繰り返し行ったところ、この車両については、上記①~⑤の気になる点がおおよそ改善されたように感じました

特に、「③アクセル開度5%~30%くらいまでのレスポンスが悪い」については、「街乗り~サーキット走行」など幅広い用途に最適な「電子スロットル・マップ」の開発が完了し、私個人の理想に近いエンジン・レスポンスを得ることができたため、かなりの改善を感じることができました。
オーナー様のご感想 [No.5] BMW MOTORRAD S1000RR 2017-2018 ★ECUチューニング開発★
後日、オーナー様から「長距離ツーリング」や「サーキット走行(富士スピードウェイ)」のご感想をいただきましたので、こちらに記載させていただきます。

オーナー様のご感想
 〇スロットルレスポンス・ドンツキについて
  → 元々はもっさりしてたんだけど、丁度良いね。開けやすい。
    ギクシャク感などは殆どなくなっています。
    街乗りもサーキットもどっちも乗りやすかったです。

 〇エンジブレーキについて
  → 純正は少し変な効き方だったけど、今は普通になりましたね。
    強くも無く、弱くもなく、いいんじゃないですか。

 〇ストレートスピードについて
  → 富士スピードウェイ走ってきました。
    めちゃくちゃよく回るね。いつもパナソニック看板のちょい手前で299だったけど、
    それより50m以上手前で299になった。ふけ上りもめちゃくちゃスムーズ♪

 〇総評
  → 乗りやすくてパワーもしっかりある感じです。

今回のECUチューニング実施内容
 ①点火マップ 調整
 ②電子スロットル開度マップ 調整
 ③[仮]アクセルオフ燃料噴射マップ 調整
 ④[仮]トルクリミットマップ 調整
 ⑤[仮]ラムダターゲットマップ 調整
 ※ECUチューニング・サービス内容は予告なく変更とさせていただく場合がございます
 ※上記「ECUチューニング項目」の一部は仮称とさせていただいております

純正ECUでもドイツ車ならではの思想・味付けで乗りやすく、優しい印象がありましたが、ECUチューニングを実施した後も乗りやすいので、後は好みの問題だと思いました。

ただ、サーキット走行まで視野に入れられている場合、オーナー様のようなご要望をお持ちの方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。私が感じた上記①~⑤についてや、オーナー様のご感想などから、少しでも共感いただけることがございましたら、まずは「海外メーカー車両 (開発相談)」からお気軽にご相談ください♪
※「BMW S1000RRシリーズ」などに採用されている「BOSCH製ECU」は様々なソフトウェア・バージョンが存在することから、しばらくは「開発案件」として受諾させていただきます。郵送施工をご希望の場合につきましては、開発状況により受入可否が異なりますので、まずはお気軽にご相談ください

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